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g)皮膚の防衛

 皮膚といっても、「面の皮」 などの表現もあるように、ふだん私たち、とくに男である主夫にとっては、饅頭の 「皮」 と大差ないくらいの意識しかないかも知れません。しかし、人間が健康に生存するためには、やはり欠かせない臓器のひとつなのです。

 たとえば、皮膚は、病原体やウィルスなどの外界の異物の侵入から、しっかり内部組織を守ってくれます。外気温に敏感に反応することで、体温調節をおこないます。汗腺からの発汗などは、体温や呼吸の調節と共に、老廃物の排出もおこなっています。また、全身に張り巡らされている触覚は、生体の周囲の環境をしっかり把握し、その情報は、速やかに脳に伝達されます・・・と、いくつもの重要な役割をになっているのです。
 また逆に、皮膚は、体調をも正直に反映するため、「皮膚は内臓の鏡」 といわれることもあります。

 このように、全身の健康とも密接な関わりをもつ皮膚の組織は、表皮、真皮、皮下組織の三層から構成されます。ちなみに表皮は、およそ一ヶ月をサイクルとして、たえず細胞が新しく生まれ変わるとされます。

 ここでは、皮膚の健康のあれこれを取り上げることはできませんので、皮膚の防衛ということで、紫外線対策に限って、ざっとご紹介してみましょう。

1) 紫外線について

 紫外線 (UV) は、太陽から放射される光線のうち、虹の七色 (赤~紫) の紫色の外にある波長のもので、もちろん、人間が目で知覚することはできません。地表に届くものには三種類あり、波長の長いものから、紫外線A (UVA)、紫外線B (UVB)、紫外線C (UVC) となります。

 波長が短いものほど保有しているエネルギーが強く、UVCは、医療用の殺菌灯に用いられるほど強いものですが、さいわい、オゾン層に吸収されて、これまでは地上にほとんど届きませんでした。最近の地球温暖化とオゾン層の破壊 (オゾンホールの拡大) にともない、今後の健康への影響が、大いに懸念されるところです。
 UVAとUVBは、これまでもその一部が、オゾン層を通過して地球に到達していました。

 このうち、UVBの方がエネルギーは強いのですが、透過力が弱く、雲やガラスで遮られてしまうせいもあって、皮膚への影響はおもに表皮にとどまります。戸外の直射日光に長時間さらされ、肌が火傷のように真っ赤になってしまった状態の日焼け (この炎症を、サンバーンといいます) というのは、UVBのなせるしわざです。

 これにたいしてUVAは、エネルギーそのものは弱くても、透過力が強く、雲やガラスで遮られることもないので、皮膚の奥深く、真皮組織にまで到達するのです。なぜか知らない間に色が黒くなっている (これは、皮膚の自己防衛の結果としての、メラニン色素の沈着によるものです) などという状態の日焼けは、UVAの影響によるものだといえます。

 紫外線の量と季節あるいは時間との関係は、おおむね以下の通りです。

 

a. 季節

 日本では、五月・七月・八月が最も強いとされます。夏至に当たる六月は、理論的には最も強くなるはずですが、梅雨の影響でいくぶん相殺されるようです。
 これらの時期を冬と比べた場合、UVAの量はほぼ二倍、UVBの量はほぼ五倍にもなるとのことです。

 

b. 時間

 一日で見た場合は、午前十時頃から午後二時頃までの間が、最も強くなります。

2) 光老化と皮膚ガン

 従来、日光は身体に良いものとされて来ましたし、事実、日光が人間の生存や健康にとって不可欠のものであることに変わりはないのですが、近年、とくに紫外線の皮膚にあたえる悪影響が、光老化と呼ばれてクローズアップされてきました。

 光老化とは、意識的にせよ気づかないでにせよ、長期間にわたって紫外線を浴び続けた結果として、皮膚の老化が急速にすすみ、単にシミやソバカスを残すだけでなく、深いシワやタルミを刻みつけたり、場合によっては、皮膚ガンにまで進行するという、皮膚の受ける健康被害のことをいいます。
 ふつう、シミやソバカスはUVBによって、シワやタルミはUVAによって、また、皮膚ガンは両者の相乗作用によって、それぞれ誘発されると考えられています。

3) 紫外線対策

 かつて、真っ黒な日焼けは、若さと健康のシンボルのようにも見なされていました。しかし、こうしてみますと、真夏の強烈な太陽に好んで裸身をさらすことは、かえって、百害あって一利なし、とさえいえるかも知れません。
 また、直接の照射だけでなく、戸外においては、夏ならば砂浜とか海や川などの水面、冬ならば積雪などからの、反射の影響も馬鹿にはならないようです。ガラス越しや庭の照り返しの日光などからも、紫外線は容赦なく降り注いでくるわけで、室内にいるからまったく安全とは言い切れません。

 さらに、紫外線は、皮膚だけでなく、目にも悪影響をおよぼしている可能性が大きく、老人性白内障などをひき起こすと考えられています。

 そこで、ふだんからの予防と注意が必要になるわけですが、具体的な紫外線対策としては、たとえば次のようなものがあるとされます。もちろん、これらのどれかの方法だけに頼るのではなく、季節や時間によっては、何重にも防御してあげることが必要です。

 

a. 戸外に出る時間を調整する

 可能であれば、とくに夏の間などは、紫外線が強い時間帯の外出を避け、朝夕にふり代えるなどして調整します。
 夏でなくても、雲もなくすっきりと晴れきった日には、外出時間帯を調整するか、長時間の戸外作業を避けます。

 

b. 帽子や日傘を携帯する

 外出時には、帽子や日傘を携帯して、日光に照らされる肌の面積を、できるだけ少なくする工夫をします。帽子は、顔だけでなく頭髪を、日傘は、さらに上半身の首や腕なども、しっかり防御してくれます。なるべく黒っぽい、光を吸収する色のものを選んだり、さらに帽子ではツバの広いものを使用すると、なお効果的です。
 また、真夏でない限り、なるべく肌の露出を少なくするような服装選びも、心がけたいものです。

 

c. 日焼け止め薬剤を活用する

 しかし、このようにして直接身体に当たる日光を避けても、まだ十分とはいえません。というのも、照り返しなどの反射光の紫外線がありますし、ふつうのレースのカーテン (UVブロック加工が施されていないものをいいます) なども透過して、紫外線は届いてくるからです。
 私なども、南に面した窓のすぐそばに仕事机を置いて、西を向いてパソコンを使っていますと、五月晴れが続く頃などですら、何日もしないうちに、顔の左半分だけが色浅黒く、はっきりと日焼けしていることが確認できるありさまです。

 そこで役立てたいのが、日焼け止めの薬剤です。日焼け止めには、大きく二種類があり、一つは紫外線散乱タイプ、もう一つは紫外線吸収タイプで、それぞれが一長一短です。
 散乱タイプのものは、酸化チタンなどの薬剤の保護膜が、紫外線を反射させてしまうという原理になっています。肌には安全ですが、塗った表面がムラになりやすく、こまめに塗り直してやらなければならないなどの不便さもあります。
 一方、吸収タイプのものは、ベンゾフェノンなどの薬剤の保護膜が紫外線を吸収して、皮膚に浸透しないようにする原理になっています。しかし、化学反応を起こさせるため、かぶれなどの別な皮膚症状が発生する危険性があります。

 薬剤の効果の目安としては、ふつう、SPF値とPA値が表示されています。
 SPF値は、UVBを防ぐ時間の長さを相対的に示すもので、"SPF+50" が最高値となります。たとえば、"SPF+50" ですと、薬剤を塗った部分と塗らなかった部分を比べると、日焼けするまでの時間が50倍違う、ということです。
 これにたいして、PA値は、UVAのカット率を示し、"PA+" ~ "PA+++" の三段階に分かれ、"PA+++" が最高値です。

 いずれにせよ、好みのタイプのものでもかまいませんから、たとえば顔の場合であれば、顔面・首筋・耳の後ろ・顎の下などに、薄くムラなく塗りのばしておくことで、ずいぶん効果があります。顔面では、頬や鼻、眉毛から目元にかけてのあたりが、紫外線を受けやすいといわれます。

 

d. ビタミン類を補給する

 以上の、外側からのガードに加えて、身体の内側からのガードも心がけたいものです。

 紫外線は体内に活性酸素を生成するそうですが、この活性酸素の活動が、ガンなどを誘発するのです。したがって、これら活性酸素を除去する働きをもつ、ビタミンC・Eやβカロテンなどを多く補給してやることも、有効な対策といえます。
 具体的には、たとえば、緑黄野菜やナッツ、緑茶、大豆などを食べるとか、あるいは、サプリメントなども活用します。

 なお、ビタミンCを初めとするサプリメント一般に関しては、前述の 「摂取するもの」 の 「サプリメント」 の項もご参照ください。

 

e. 休養と睡眠に気をつける

 これは、どんな病気の予防の場合にも当てはまりますが、できるだけ疲れやストレスをためないことが、身体の免疫機能を十分に働かせることにつながり、すべて健康維持のための、第一歩となるのです。

 

 

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メンタームUVシールド 近江兄弟社

 

ご紹介情報/サイト(外部リンク):

情報名 サイト 備  考
「日焼け」 日本皮膚科学会 サイトのトップページから、「皮膚科Q&A」 とリンクをたどった所に、記載があります

 

「紫外線とシミ」 薬食同源 サイトのトップページから、「健康情報局」 とリンクをたどった所に、バックナンバーとして記載があります

 

 

(続く)

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