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その生涯

思想の特徴

霊能の事例

思想の特徴

 スウェデンボルグの著作は、じつに多方面かつ膨大なものがあり、一趣味人の私ではくわしいご案内もできませんが、皆さまに、スウェデンボルグへの関心や興味を少しでも抱いていただければと願い、その思想のごく一部を、科学的思想と霊的思想に分け、私の理解の範囲内でご紹介いたします。
 また、その内容は、やはり、「巨人・スウェデンボルグ伝」の記述からの抜粋であることを、あらかじめお断りいたします。

科学的思想の特徴

スウェデンボルグの後年のいろいろな神学書は別にして、彼の若い時期の著作は、おもに、きわめて旺盛な彼の読書体験が生みだした「成果」であったようです。

 つまり、彼は科学者として、実験をことのほか重視しましたが、すべてが彼の実験室の中から発見されたのではなく、先人または同時代のすぐれた科学者たちの、それぞれの生涯をかけた業績 (実験結果やそれにもとづく論文をいいます) から、彼独自の天才的な洞察力によって、筋のとおった理論体系にまとめ上げる役割を果たしたのです。
 したがって、彼の科学的な功績は、ある特定分野についての高度に専門的なものというよりは、もっと漠然と広い範囲にまたがる、その意味ではいずれの分野でも素人的とさえいえる、しかしまさしく時代の先駆けそのものとなる提唱が多かったといいます。それらの一つ一つが、学問的に確立され、それぞれ独立した科学の分野になるには、じつに二十世紀を待たなければならなかったのです。

 一例をあげれば、彼は、物質とエネルギーはほんらい同じものであると主張しており、これはご承知のように、アインシュタインの相対性理論によって証明されました。
 また、脳の働きを解明して、史上初めて大脳皮質の役割に注目したり、電気化学的な神経伝達メカニズムを予見したり、銀河系宇宙の構造と今日の星雲説をすでに組みたてていた、などとされます。
 スウェデンボルグは、自分にはものごとを統合する才能があるとして、ある時、このように述べたそうです。
いわく「逆に他の研究者たちの発見したものから原理をつくり上げてみようと試みると、今度は彼らの指摘した真実をさまざまな現象の中で再確認できる場合が多そうだと気づいた。(中略)そこで私は、自分の研究道具はわきに置き、自分で観察したいという欲求も抑え、自分の研究よりは主に他の研究者の研究を手がかりにすることに決めたのだ。(「巨人・スウェデンボルグ伝」から引用)と。

 

スウェデンボルグ初期の著書「自然の第一原理」は、彼の世界観が述べられている点で、とても興味深いものです。

 しかも、顕微鏡にせよ望遠鏡にせよ、彼の時代の観測用の測定機器が、いまだ大したレベルのものでなかったことを思うとき、彼が引き出した結論が、その骨子において、現代でもなお生き残り続けていることは、まさに驚くべきことといえるでしょう。

 スウェデンボルグによれば、この宇宙は、最初は、われわれがふつうに認識できる時間や空間の世界を超越した、ある目に見えないエネルギー (力) の点のようなものから出発したとのことなのです。そして、そのエネルギーの運動が、時間と空間の世界の中に、たとえば惑星のような具体的な物質の形をとって、姿を現したらしいのです。
 と同時に、宇宙には、四つの本質的な力 (「要素」と呼ばれることもあります) が生まれた、と彼は続けます。
 第一は重力と引力、第二は磁力、第三は光・熱・電気を運ぶエーテル的な力ないし働き (ただし、エーテルそのものの存在は、アインシュタイン以降は否定されています)、第四は音を伝える空気の力、であると。
 また、彼は、大きい宇宙については、たとえば、太陽系の星は物質としての太陽から生まれ、そのほかの星雲上の物質からはいくつもの太陽が生まれたであろう、と推論しています。一方、小さい宇宙つまりミクロ的な世界については、原子を初めとする素粒子的なものの存在を、すでに想定していたとされます。

 

(続く)

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