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その生涯

リーディングの特徴

リーディングの事例

リーディングの特徴

 ケイシーを有名にしたリーディング ("リーディング"とは、前にも述べましたように、催眠状態にあるケイシーからもたらされる、各種の情報のことをいいます) は、貴重な多くの示唆を含んだものではあるものの、彼はそこで、自らの思想や考えを述べているわけではありません。
 彼の役割は、異次元の世界からのメッセージを、そのまま伝達することにありました。ケイシーが後年語っているように、「眠っ」ている彼みずからは、なにも「主張」はしていないのです。
 しかし、リーディングを通してもたらされた情報や、「ケイシー研究啓蒙病院」での彼自身の講義などにかいま見られるその思想には、やはり、霊能者としてのケイシーの独自性が、はっきりと現れているように思われます。
 そこで、ここでは、ケイシーのリーディングにまつわる特徴的な問題を、あれこれ雑多に取り上げて、ご参考に供することにいたします。なお、それぞれの内容については、末尾の参考文献からの抜粋であることを、あらかじめお断りいたします。

 

リーディングがどのように行われたかは、大変興味深いところですが、「転生の秘密」などからまとめますと、次のようであったと思われます。

 まず、ケイシーはくつろいだ身なりで、長椅子などにリラッスして横たわります。この時、ふつうのフィジカルリーディングでは頭を南に向け、逆にライフリーディングでは、頭を北に向けるのが良いとされました。
 リーディングには、最低でもケイシーのほかに一名の誘導役が必要で、その人物は進行役として、催眠状態に入ったケイシーに暗示や質問を行います。また通常、ケイシーが語った情報は、専門の速記者が記録するのです。
 この速記は、大変に神経を使うむつかしい作業だったといいます。そしてそれは、語られる言葉の速度の問題というよりは、聞き覚えのない専門用語などが随時飛び出してくることと、たとえ途中で分からなくなった場合でも、ケイシーの口述に割り込んで確認することができないこと、などの為であったとされます。

 かりにリーディングの対象者 (患者などをいいます) が遠方にいる時には、その人の名前と、リーディング実施時のその人の所在地が与えられれば、それでリーディングは可能だったようです。
 たとえばある時、ケイシー自身のリーディングを行う際に、誘導役がうっかりこの所在地を言い間違え、その場所でなにが見えるかと質問したところ、そこではちょうど決算の粉飾が行われつつあるとの、笑うに笑えない返答が帰ってきたこともあったといわれます。

 フィジカルリーディングの最初に与えられる暗示は、「転生の秘密」から引用しますと、次のようなものだそうです。つまり、
「今あなたの前には (*州の*市*町*番地) の (患者の名前) がおります。あなたはこの人のからだをよく調べ、徹底的に検査して、その現在の状態について話して下さい。」と。

 これにたいして、ライフリーディングでは、暗示はこのように変わります。つまり、
「あなたの前には "**" の場所で "*年*月*日に生まれた" "**" という名の人がいます。あなたは、現世におけるこの人の顕在的及び潜在的パーソナリティの状況を説明しながら、(中略)前世における地上生活の時と所と名前、ならびにその各々の前世においてこの人の人間的成長をたすけたもの、またそれを遅らせたものについて述べて下さい。」と。

 

リーディングの情報が、ケイシーの通常意識を経てもたらされるのでないことは、次の事例からも、はっきりうかがえるように思われます。

 それは、イタリアのある高貴な身分の人にかかわるリーディングの時のことで、そもそも依頼の手紙がイタリア語であったため、彼にはまったく内容が分からず、たまたま町に住んでいたイタリア人に訳してもらって、リーディングを開始したそうです。
 ところが、驚いたことに、ケイシーの口から出る情報がイタリア語で語られたために、伝えられた内容は、その場に同席していた例のイタリア人以外は、速記者を初め誰にも、理解することができなかった、というのです。

 彼ににそれをしゃべらせた主体が誰であるにせよ、少なくとも、現世でのアメリカ人ケイシーでないことだけは、確かなことだったでしょう。

 

ライフリーディングを通して、断片的にケイシーが語ったという、地球上のはるかな過去のありさまについては、その正しさが証明されたものもあるといいます。

 その一つとして、ある時ケイシーは、今現在では北流して地中海に注いでいるナイル川が、ずっと昔、西の大西洋に流れこんでいた、と発言したのです。
 彼の生前、これはまるで馬鹿げた空想の話だとして、相手にもされませんでした。しかし、彼の死後の1960年代になって、地質学者の調査の結果、少なくともナイル川がかつては、西にあるチャド湖 (アフリカ中央部にあり、今のナイル川とアフリカ大西洋岸とのちょうど中間に位置しています) に注いでいたことが、初めて証明されました。
 つまりおそらく、ケイシーの過去への透視は正しかった、と思われるのです。

 そのほか、彼のライフリーディングでの過去生の舞台としてしばしば登場する、有名な"アトランティス"時代のこともあります。

 アトランティスは、古代の哲学者プラトンによって初めて記述された、今の大西洋にあったとされる伝説の大陸で、紀元前一万年前に、それこそ「一昼夜」で消滅したといわれます。プラトンの弟子のアリストテレスは、アトランティスの存在を信じず、後世においても長い間、単なる神話か寓話の類であろうとされてきました。
 しかし、十九世紀の半ばに、霊媒ブラヴァツキー夫人が「イシス発見」という著書の中で言及して以来、ふたたび人々の注目を引くことになります。
 その実在を信ずる立場から、多くの著作や推論が行われましたが、中でも、人智学を創始したとされるシュタイナーの説などが有名です。一方、地質学的な研究の結果、ある程度の証拠とみなされるものが発見されたこともあり、ケイシーの頃には、肯定否定あい半ばする状態であったようです。
 ただし、ケイシーの場合は、理論による肯定ではなく、透視にもとづく一種の現実として淡々と語られている点が、大きな特長といえます。さらに、長年のリーディングの中で、折に触れて断片的に触れられているにもかかわらず、アトランティスの全体像が、非常に首尾一貫しているということも、特筆すべきことと考えられています。

 文献「私は前世の秘密を知った」から引用しますと、ケイシーの描くアトランティスの滅亡は、このようなものだったといいます。つまり、
「アトランティスはいまの大西洋にあった三つの大きな陸地で、どの陸地でも現代文明よりはるかに進んだ文明を持っていて、核エネルギーも実用化していた。そして核エネルギーをつかっていたことが、アトランティスの崩壊と水没の原因になった」のであり、「アトランティス文明は二〇万年の間続き、アトランティスの最後の陸地が海中に沈んだのは、紀元前一万年の頃だという」のです。
 そしてさらに、アトランティスの生き残りの人々は、海を越えて各地に移住したのですが、その一グループがエジプトであの古代文明を築いたのであり、エジプトには、未発見ながら、アトランティスの記録がたしかに残されている、とも述べています。

 

(続く)

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