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ドキュメント制作業務について
ドキュメント制作の技能と習得
当店でのDTP業務の位置づけ

 


当店でのDTP業務の位置づけ

 

 こうして、DTPというものを基軸にして、広く浅く、いろいろな技能の習得につとめましたが、あっという間に1年がすぎ、次の年に向けて、方針の再確認をおこなうことにしました。
 そこで、入力業務の時と同じく、当店で出した結論そのほかについて、整理してご紹介しようと思います。

 

a)当店での結論

 

1) DTP業務の自宅SOHOを開業することは、現状では不可能である。

 

2) 代わりの業務分野に、Webデザインを想定し、直ちに技能の習得を開始する。

 

b)その理由

 

1)技能レベルの不備

 

 少なくとも、それまで試みたような独習による方法だけでは、アウトソーシングのDTPのプロに求められる技能レベルに、この先とうぶん店主が達することができない、と判断され、それが上記の結論の最大の理由となりました。
 商用印刷のためのカラー管理のシステムの完全な理解もなく、かといって、たとえ実習という形であれ印刷の現場を数多くこなしたという経験もないというのでは、それだけで致命的で、このままいたずらに、DTPの技能の習得に時間をついやしても無駄だ、と考えられたわけです。
 DTPの業務では、編集途中でパソコンの画面をとおしてチェックされる画像などのイメージと、実際に印刷された仕上がりのイメージとの間に、おもに色あいの面でのズレがあることが多く、このズレをいかに効率的に除去ないし防止できるかが、担当者のいわばウデになるのです。そのウデは、いろいろなケースに遭遇し、失敗も経験しながら、身に覚えこませていくもので、やはり一朝一夕に習得できるものではないのでしょう。
 つまり、作業していて、「刷り上がり」が予想できるくらいの技能レベルでないと、アウトソーシングでは、使い物にならないだろう、ということです。

 

2)DTPとWindows

 

 ことDTPにかんする限り、やはりMacintoshの独壇場が、こことうぶんは続くのではないでしょうか。
 それは、ずっと昔 (革新の速いパソコンの世界では、もう十分、「昔」といってもよいでしょう) から、広くデザイン系の分野を含めてDTP的な業務が、つねにMacintoshの発展とともにあった、という意味でもあります。
 現在、SOHOの情報サイトで見かけるDTP業務は、Macintoshを指定するものばかりで、WindowsによるDTPが、いまだいちじるしく不利な状況にあることは、まちがいありません。

 

3)クォークエクスプレスの優位

 

 基本OSにたいしていえることが、レイアウトソフトにおいてもいえ、今のところ、クォークエクスプレスが、断然支持を受けて、他のソフトを引き離しているようです。
 同じくSOHOの情報サイトでも、クォークエクスプレスの募集以外はほとんどない、というのが現状です。
 ただ、店主の個人的感想では、インデザインの登場によって、やや変化が生ずるのではなかろうかと、思われますが。

 

4)新しい分野への模索

 

 結局、ずいぶん長い時間をかけて納得できたことは、DTP業務というものが、たとえていえば、基本の設計図通りに丁寧に仕上げられた建造物、あるいは、精密な部品が複雑に組みあわされた時計、といったような、完全に手順の確立されたしかも閉鎖的なシステムだということです。
 たしかに、DTP (組版) の部分だけを取りあげれば、それは、編集から印刷までの工程の、一つの歯車にすぎないかもしれません。しかし、時計でも歯車のちょっとしたトラブルによって、時刻が大きく狂うように、DTPの部分におけるミスや手抜き、あるいは技能不足が、最終的な印刷物に反映して、思いもかけない大きな被害や損害をおよぼす、という危険性を、つねに内にはらんだものだといえるでしょう。。
 また、そのアウトプットを、イメージセッターを初めとする高価な装置でおこなうのですから、コストパフォーマンスを良くする意味からみても、失敗はもちろんのこと、いわゆるちょっとした遊び心から、わざと予定の規格をはずしたものを試作してみる、などといったことは、とうてい許されるはずもないのです。
 DTPは、すべての工程が、商用印刷という唯一絶対の目的に向かって、一分の狂いもなく、計算しつくしたうえで進められていく業務である、ともいうことができるかもしれません。
 そこで、それ以後の方針を検討するにあたり、このようなDTP業務の特性をふまえ、すでに習得した技能の活用をはかり、さらに店主の好みも考えて、DTPよりはるかに「最近」になって出現したWebデザインという、またいくらか毛色のことなる分野に、着目するようになりました。少なくとも、Webデザインの次のような特長に、新たな可能性を感じたのです。

 

a. 基本OSのプラットフォームに、いちじるしく左右されるなどという、業務の受注時の制限が少ない。

b. まだ確立されていない発展途上の分野であるため、新規参入の余地があるのではなかろうか。

c. 専用のソフトをいくつか必要とするだけで、とりあえず、高額高性能なハードなどは、増設しなくてもよい。

d. 完成品の状態が、インターネットをとおさなくても (つまり、余分な出費をしなくても、という意味です)、自分のパソコンだけでチェックでき、さらに適正なルールを守れば、たとえば、色あいの面でのズレなどもおきない。

e. 大がかりなサイトでないかぎり、設計からデザインまでのページ作りを、独自の自由裁量のもと、進めることができる。また、趣味的な遊びや規格外の冒険といったものを、試みる余地が、残されている。

 

(続く)

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