=Webデザイン編の詳細の目次(リンク)= Webデザイン業務について Webデザインの技能と習得 当店でのWebデザイン業務の位置づけ
Webデザインの技能と習得 (続き)
d)Web関連周辺ソフトの理解 (続き)
3)フラッシュについて
a. フラッシュの位置づけ
Webアニメーション作成ツールとしての、マクロメディア社のフラッシュについては、いろいろなWebサイトで、このソフトを使ったムービー (アニメーション作品) にお目にかかれますので、すでに皆さま、その名前はご存じのことと思います。 このソフトをうまく使えば、楽しい動作をする可愛いイメージキャラクターの創出とか、テレビコマーシャルばりの社名や商品のアピール、さらには、サウンド効果やインタラクティブ機能を駆使した派手な演出など、それこそ、いっとき目を釘付けにさせられるほどのインパクトのあるコンテンツを、ページ上に展開することも、十分可能なことでしょう。 しかも、フラッシュの基礎的技能の習得は、ほかのソフトにくらべても、格別にむつかしいというものではない、と思われます。もちろん、シンボルとインスタンス、あるいはトゥイーン、などなどのフラッシュ独特の概念に、最初は、面食らわせられるかもしれまぜんが。 当店でも、比較的早い時期から、このソフトを、ほとんど必須のWeb用ツールと位置づけて、その習得につとめてきたものです。また、表現方法の選択肢が多彩なこともあって、ちょうどイラストレータの時と同じように、けっこう楽しみながら学習をすすめることができたソフト、にはちがいありません。 しかし、かなりソフトにも慣れてきた今、ひるがえって考えてみますと、フラッシュは、作成コンテンツのアピールの華やかさにもかかわらず、その活用範囲は、じつは意外と狭いのではなかろうか、と思えるのです。 実際の事例をざっと思いめぐらせても、ゲームや占いなどの娯楽サイトのメインコンテンツとか、ゴチャゴチャした情報てんこ盛りサイトの息抜き用コンテンツとか、ショッピングサイトでの客寄せショー的コンテンツとか、そんなところが、おもに浮かんできます。そのほかでは、デザイン偏向のサイトで、あまり意味がよく分からないコンテンツの作成に、使用されていたりするケースもあります。 アニメーションやコマーシャルの作成、または斬新なデザインの発信、などを手がける業務分野で、不可欠なツールの一つになっている、ことはよく分かりますが、それ以外での必要性は、当初期待したほどには大きくなかった、ようなのです。 それはつまり、ごく一般的な企業のWebページで、たとえば、いきなり社名などがアニメーションで派手に表示されたとしても、それが、そのサイトじたいの存在価値の高さに、どれほど影響しているだろうか、ということとも関係があるのです。 たしかに、ありふれたページよりは、その作成に使われた技術は高く、凝ったページにできあがっているかもしれません。しかし、ユーザーサイドからは、そのページをブラウズする毎に、否応なく、同じアニメーションにつきあわされる、との見方をされることもあるのです。 それをつきつめれば、いったい誰のためのWebページなのか、なにを情報として一番訴えたいWebページなのか、という根本的なサイトの設計思想の問題にも、つながらざるをえなくなるでしょう。 もし、あえて結論めいたものを申しあげてよければ、フラッシュのムービーに限らず、なにかインパクトのつよいコンテンツや効果を取りいれるには、取りいれるなりの、明確な目的と、ユーザーサイドに立ったメリットがなければなりません。ただ目立たせたい一心で、なんでもアニメーションにするとか、ほかのサイトとの格差づけのために、技術的に作成がむつかしいコンテンツを取りいれるとかいうのでは、遅かれ早かれ飽きられてしまったり、場合によっては反感を買うことすらもあるでしょう。要するに、本末転倒になってしまうでしょう。 その意味で、ひょっとして、フラッシュの魅力は両刃の剣なのではないか、と思うわけです。
b. フラッシュのマニュアル
フラッシュも、ちょうどフォトショップと同様、選択に迷うほど、マニュアルにはこと欠きません。 そのことじたいは、ソフトの人気を裏づけるものでもあり、習得する側から見れば、ずいぶん有り難いことなのですが、本当に役に立つマニュアルが少ない、と感じるのは店主だけでしょうか。 どれも似たりよったりの説明内容で、極端にいえば、アニメーションの画像がちがうだけで、あとは同じなのです。 思うに、これはバージョンを重ねた人気ソフトの場合には、共通の弊害なのかもしれません。つまり、そのソフトの一通りの基本的な機能説明と、新バージョンでの「目玉」機能のくわしい説明の二本立て、というパターンに終始するわけです。 ですから、この手のマニュアルを何冊レッスンしても、前に習ったことを復習しているだけのことで、それ以上にソフトの理解を深めたり、新しい見方や活用法を教えられたり、ということは、まるで期待できません。 たとえば、フラッシュはどういう目的で開発され今後どのような方向に向かいそうだとか、その魅力や問題点はどこにあるのかとか、アイデアがどのような手順で具体的なムービーに結びつくのかといった、いわば初心者の目線で書かれた説明がないため、習得したものが、すぐに応用に結びつかないのです。 フラッシュのようなソフト場合、習得するのが本当にむつかしいのは、おのおのの機能をどう操作するのかということではなく、「何を」フラッシュで表現していったらよいのかかを把握すること、ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ほかのサイトではまず見られないムービー、こんなフラッシュの利用法があったというインパクトのあるコンテンツ、それらを開発できてこそ、フラッシュを習得する意味があるのだと思います。 そのために、オリジナリティのあるコンテンツ作成の手順、あるいは、ユーザーが今後求めるコンテンツの傾向、などについてのヒントや解答を与えてくれる、新しいタイプのマニュアルの出現を、大いに期待したいところです。もっとも、それが理論的に分かっていても、企業秘密として、ひとには知らせるわけにいかないかもしれませんが。
c. フラッシュのアクション
オリジナルコンテンツを開発するための、自己努力の一つとして、フラッシュ独自のプログラム言語である、ActionScript (ここでは略してアクションと呼びます) を習得するというのも、良い選択かもしれません。 アクションは、前述のJavaScriptと文法が大変よく似ており、バージョン5から、大幅に機能強化されたとのことです。 もし、フラッシュを使ったコンテンツ作成を重視されており、また次のいずれかに当てはまるような場合には、今後、このアクションの習得が、避けられないものとなるでしょう。
1. 従来のアニメーション表現がワンパターンでつまらないと思うか、あるいは、ユーザーから近く飽きられそうだと思われる場合
2. コンテンツのインタラクティブ性を、さらに多様化または強化したい場合
3. 必要にせまられて、どうしてもオリジナルなコンテンツムービーを作成しなければならない場合
4. マルチメディア指向の上級ツール (マクロメディア社ならディレクターなど) への移行を、そろそろ視野にいれている場合