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中国占術の基本構造

中国占術の系譜

おもな中国占術

中国占術の系譜

 大げさな表題をつけましたが、私自身は、なんら体系的な修得をしたわけでもありませんので、申し訳ありませんが、市販書籍からの、ごくごく受け売り的な記述になってしまうことと思います。
 ここでは、二つの系譜を取り上げて、ご紹介いたします。最初は台湾系占術、もう一つは孔明系占術です。

台湾系占術

 今日、日本の中国占術のほとんどが、台湾出身のある占術家にまで連綿と伝えられた、占術の系譜の原典ないし専門書籍や研究にその源を発している、といわれます。
 ここでは、参考文献にも掲示させていただいた「五術占い全書」から引用して、その系譜の特長を、簡潔に箇条書きでご紹介しましょう。

 

a.この流派は、「明澄派(めいちょうは)」あるいは「透派(とおるは)」と呼ばれ、張耀文 (ちょうようぶん) という中国人をとおして、日本に普及したといわれます。
 この派の場合、その占術の体系ぜんたいを、正式には、「運命学」とか「五術」とか呼びます。
 この運命学は、狭い意味での占いだけにとどまらず、総合的に人間を幸福な方向に導くための、術法一式のことを意味しているもので、それを五種類に分類しているので、五術ともいうのです。
 その五術とは、「命(めい)」「卜(ぼく)」「相(そう)」「医(い)」「山(ざん)」です。

 

b.この五術の内、最初の三つだけが、日本では中国占術として理解されております。
 それにたいして、「医」は、東洋医学 (漢方) と考えればよく、人間の疾病に対処するさまざまな術法を含むものです。
 また、あまり聞き慣れない「山」というのは、その昔、山にこもって会得した術であるところから呼ばれたもののようで、自らの肉体と精神を高度に洗練させる、特殊な術法です。

 

c.「命」は、字のとおり、生来に与えられた運命の判定を目的とするもので、「推命」ともいうのです。
 この派の「命」は三レベルに分かれ、「紫薇斗数(しびとすう)」「子平推命 ("しへいすいめい" ですが、日本ではこの内容の占術を、ふつう "四柱推命" と呼んでいます)」、そして「七政星学 (しちせいせいがく) 」などがあるそうです。

 

d.「卜」は、事前に、対処しようとする事柄が吉か凶かを占うもので、扱う範囲は広範囲にわたります。
 通常の占いには「断易 ("だんえき"、つまり五行易です)」「六壬神課(りくじんしんか、りくじんじんげ)」が使われ、方位の占いには「奇門遁甲(きもんとんこう)」が最適ですし、国家の趨勢などのような大局的な応用では「太乙神数(たいおつしんすう)」が使用されるといいます。

 

e.「相」は、いわゆる観相のことです。
 人相のうちでも顔を観る「金面(きんめん)」や、手掌をもっぱら鑑定する「玉掌(ぎょくしょう)」、家相を判定する「陽宅(ようたく)」、墓相を中心とした「風水(ふうすい)」などが、この分野に該当します。

 

孔明系占術

 孔明系の占術は、日本では比較的耳新しいもので、今から二十年ほど前、ある日本の若い占術家によって初めて発表、紹介されました。しかし、由来は台湾系のものよりも古く、かつ占術の原形に近いとされ、その起源は、じつに、中国の伝説の皇帝である黄帝にまでさかのぼるとのことです。
 とくに、三国志で活躍した諸葛孔明(しょかつこうめい)によって駆使されたことが伝えられており、その後、書物の形ではなく、もっぱら口伝で受け継がれてきたために、長く世に知られることのなかった幻の占術であるといいます。
 ここでは、参考文献にも掲示させていただいた「諸葛孔明の占法」から引用して、その系譜の特長を、簡潔に箇条書きでご紹介しましょう。

 

a.この流派は、代々の特定の名前はないようで、紹介者は「諸葛流」とも称されているのです。
 ただ、これはあくまで、諸葛孔明がこの占術を使用したこと、さらにこの占術が諸葛孔明からの直伝であること、の二点にもとづいた、独創的な命名であろうかと思われます。
 ちなみに、この占術の仕組みに着目することで、「三元(流?)とも呼ばれておりますし、伝来の由緒正しさから名付けて、「真伝」とも呼ばれているようです。

 

b.すべての占術の源は、「天文遁甲(てんもんとんこう)」である、という立場をとるのが、この系譜の最大の特長です。
 つまり、黄帝から諸葛孔明にまで伝わった「天文遁甲」の中にこそ、ありとあらゆる目的や対象に適用できる、占術のすべての手法が含まれていた、というのです。
 ただし、孔明以降、事情があって口伝によって占術が受け継がれていく過程で、それぞれの目的に必要な部分だけを取り外して伝えたため、互いに脈絡のない形で理解されるとともに、それがそのまま、今のそれぞれの占術の原書という形にまで集成されたのだそうです。

 

c.「天文遁甲」に含まれる、占術の手法は少なくとも、八種類に及ぶとされます。
 それはたとえば、今の名称でいえば、「奇門遁甲(きもんとんこう)」「六壬神課(りくじんしんか)」「紫薇斗数(しびとすう)」ないし「四柱推命(しちゅうすいめい)」「宿曜 ("すくよう"といい、インド占星術、あるいは日本に伝来した宿曜経の源流ともいわれます)など、だといいます。

 

d.この系譜の占術は、ほかの占術にはない、二つの大きな特長を持っています。
 その二つとは、根本的な仕組みとしての占術上の三つの基本、つまり、天・地・人の 「三元」 を設定していること、そして、「真伝暦」 と呼ばれる独特の太陰暦の活用が基本になっていること、です。

 

参考文献(外部リンク):

書名 著者 出版社/出版年次
五術占い全書
(別冊図表付き)
張耀文
/佐藤六龍
文研出版
1983年

諸葛孔明の占法 北条一鴻 徳間書店
トクマブックス
1999年

 

 

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