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病医院治療のチェック

養生法としての食事療法

養生法としての民間療法

病医院治療のチェック(続き)

b)医薬品について

1) ぬぐえない不安

 たとえどんなに、ふだんの健康維持や病気予防に注意をはらい、毎日飲む水にすら気を配るような方であっても、ふつう、ご自分の服用されるお薬にたいしては、しごく寛大であるように思われます。
 そして、それはなぜかといえば、それが 「医薬品」 であるからに他なりません。「医薬品」 は健康を回復するためのもの、つまりは身体に良いもの、それゆえ国も 「医薬品」 と認めているのだ、という図式が、誰の頭の中にもあるものです。

 しかし、本当にそうでしょうか。もし私のように、すべての医薬品には多かれ少なかれ薬害がある、などと考えたとしたら、それは大いなる思い過ごしなのでしょうか。

 私たちは、ごくありふれた風邪を初めとして、ありとあらゆる病気で、さまざまな医薬品のお世話になっています。その結果として、世界の医療先進国においては、人々の寿命も大幅にのびました。医薬品の恩恵は、まことに計り知れないほどのものがあるのです。

 しかし、それでもなお、なるべく医薬品を使わないに越したことはない、と申しあげたら、それもやはり、ずいぶんおかしなものでしょうか。

 昔から、「毒をもって毒を制する」 ということわざがあります。医薬品はまさしく、ウィルスなどの病原菌や、身体の中の障害された細胞とかメカニズムなどの、「毒」 をコントロールするためにあえて送りこまれる、必要悪ならぬ 「必要毒」 にほかならない、と私は思うのです。

 たしかに、それで、病気を引きおこした毒は消え去るかも知れません。しかし、その病気が直ったとしても、あとから飲んだ 「毒」 のツケは、いずれなんらかの形で、かならず払わされることになるのではないでしょうか。

2) 西洋薬と漢方薬

 私が、このような不安を感じる大きな理由として、じつは、とくに西洋の医薬品の場合、化学的に合成された成分、すなわち人間が人工的に創りだした物質もいろいろ含まれている、という点があるのです。

 日本で使用される医薬品は、これら西洋系の医薬品と、古来からある中国系の医薬品すなわち漢方薬とに、大別されます。
 お医者さまで処方していただくのは、ふつう、西洋系の医薬品の方で、これがまた、痛み止めにしろ、風邪の鼻水や咳のお薬にしろ、どれもよく効くのです。また、毎年のように、より優れた効能を持つ新薬が、新たに世に送りだされてもいます。

 西洋系の医薬品の、この優れた 「効き目」 あるいは 「即効性」 に比べれば、どんなに名の知られた漢方薬も、あまりに効き目が 「遅」 く、ほとんど 「効かない」 といってもよいほどのものなのです。しかし、じつは、それが、大きな誤解と錯覚を生むもとであるように思うのです。

 というのも、この自然界に昔から存在するものは、どんな薬草であれ、身体に良い食材であれ、摂取して速やかに薬としての効果が現れるようなものは、まず、ほとんどありません。

 もしあるとすれば、それは、「毒」 性または 「劇」 性の成分をもった、ごく一部の植物や動物だけなのです。実際、漢方薬の中にも、それらの 「毒」 性のある動植物からとった薬剤 (一例をあげれば、附子"ぶし"などは、猛毒のトリカブトの根そのものを薬にしたものです) をあえて配合して、即効性を高めている処方があるといわれます。

 しかし、それから考えますと、効き目が速いとかよく効くとかいうことは、それだけ毒性または劇性が強い、つまり身体への影響も大きいということを、暗示しているともいえるのです。

3) 合成医薬品の光と陰

 その上、先ほど申しあげましたように、西洋の医薬品には、ほんらい自然界にはめったに存在しないような化合物を、人間が人為的に合成し、成分として取り入れた製品まで、まま含まれている可能性があります。

 かりに、自然界に太古の昔からある食材を、ただ組み合わせたり少し調理しただけの食品ですら、食べ方や体質によっては、人間にとって害になるものです。
 漢方薬では、自然の動植物だけを素材として、その中から、薬理効果のある成分を持つものを厳選し、かつ何千年もの医療の現場の中で、人体への影響もずいぶん検証されてきています。しかしそれでも、薬剤によっては、副作用が皆無ではありません。

 それと比べたとき、動物実験からはじまる厳密な治験をパスしていても、歴史の浅い、西洋の化学的な医薬品の人体への本当の影響などについては、まだまだ未知数な部分も多いような気がするのです。

 話が、急に飛躍してしまうかも知れませんが、すべて人間が人工的に創りだしたものは、諸刃の剣のようなもので、光と陰とでもいいますか、便利と迷惑、効果と危険が、すぐ隣り合わせであるように、私には思えてなりません。
 たとえば、DDT や PCB また合成洗剤など、あるいはプラスチックやビニールなど、現代生活の便利のために創られたこれらの化学的な製品は、廃棄しても自然の土に戻らないため環境汚染を引きおこし、燃やせば燃やしたでダイオキシンなどを発生させ、あらたな公害の原因ともなっています。

 ですから、医薬品に限ってはそんなことはないと、はたして言い切れるものでしょうか。
 医薬品は、身体の組織の中に吸収されて、取りあえずその悪影響が直ぐには分からないだけ、なのではないでしょうか。

4) 自衛のために

 以上の不安が、ただの取り越し苦労や笑い話であれば、それはそれで、かまいません。しかし当面、私としては、自分自身や家族のために、次のような自衛策を実行するようにしています。
 その一つは、病医院でいただくお薬をなるべく飲まないようにすること、もう一つは、お薬についての情報をできる限り集めるということです。

 まず一つめの、お薬を飲まないといっても、特別な病気で、そのお薬に頼らなければ命も保証されないという場合には、もちろん、選択の余地などはありません。ですからここで申しあげるのは、あくまでふだんの、それほど重症でない場合に限ったお話です。

 そのような時、かりに筋肉痛であれば、湿布の外用薬だけでがまんし、強い鎮痛剤は飲まないようにします。
 五日分だされた風邪薬なら、すべてを指示どおりに飲みきるのではなく、二日ほど飲んで、ある程度利いてきたところで、少しずつ服用回数を減らし、その代わりに、あとでご紹介する食事療法や民間療法などに、ウェイトを移します。
 また、慢性病の場合、可能であれば先生にお願いして、より身体に優しい漢方薬に変更してもらう、などの方法も考えられます。他、かなり高額にはなりますが、漢方薬局でオリジナルの調剤をしてもらって利用する方法もあります。

 二つめとしては、素人なりに、自分の飲んでいるお薬の諸情報を集めます。とくに、副作用の情報については、ていねいに把握しておく必要があります。
 それは別に、お医者さまを信頼しないからということではありません。ただ結局、お薬を飲むことを含めて、自分の身体は自分が最終的な責任を持たなければならない、という意味からなのです。

 最近では、病医院や調剤薬局などでも、積極的に、お薬についての情報を提供されていますので、それらの資料を活用されるのもよいでしょう。
 また、われわれ素人向きに解説された、お薬に関するわかりやすい解説書も数多く出版されており、一冊あると何かと重宝です。さらに、最新のお薬の効能を無料で検索できるサイトも数多くあり、その気になれば、たいていの必要な情報は、誰に聞かなくても、家にいながらにして集めることができるものです。

 皆さまも是非、これらを、上手に活用していただきたいと思います。

 

ご紹介書籍/サイト(外部リンク):

書名 著者 出版社/出版年次
医者からもらった薬
早わかり事典
水島裕/
工藤三恵子監修
主婦と生活社
2000年刊
(各年別刊行あり)

 

ご紹介情報/サイト(外部リンク):

情報名 サイト 備  考
おくすり110番 病医院のお薬検索ができ、「くすり本NAVI」 のサービスもあります

 

健康Salad 病医院のお薬検索ができ、「お医者さん検索」 のサービスもあります

 

くすりの
情報ステーション
病医院のお薬検索のほか、市販薬 (一般用医薬品) の検索サービスもあります

 

医薬品医療機器
情報提供
やや専門的かつ公的なサイトで、医薬品や医療用具の最新情報の提供がされています

 

薬害資料館 薬害全般にわたる資料のデータベースです

 

薬害オンブズパースン 民間の医薬品監視機関として、危険な医薬品に関する情報提供などが、随時おこなわれています

 

漢方コンピューター診断 漢方薬専門で、「症例DB」「処方DB」 の検索サービスもあります

 

中医薬研究会 漢方薬専門で、「症状別相談BBS」 などのサービスもあります

 

中国漢方の
Health Library
(イスクラ薬局)
漢方薬専門で、「漢方百科」 その他の情報が提供されています

 

エコロジーシンフォニー 直接、医薬品に関連したサイトではありませんが、ジャンプメニュー「キーワードを選択」 > 「健康・安全・生活」 を初め、各種の環境問題の情報が提供されています

 

 

 

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